シーラカンス


 シーラカンスとはご存知のように「生きた化石」と言われ、太古の昔から現在に至るまで絶滅することなく、生き続けている魚です。

 ある学生が長年開けられることなく、放置されていた棚の整理をしていた。中を覗いてみると、溶媒の瓶が並んでいたが、いずれもからからに干上がっており、乾燥剤として入れてあったナトリウムワイヤー(金属ナトリウムを紐状にしたもの)も白骨化していた。学生は瓶を流しに並べて、順番に水を入れて、水酸化ナトリウムとなった白骨を溶かし、洗う作業を始めた。作業は順調に進み、ルーチンワークと化した作業が淡々と進んでいった。
 しかし、そのうちの1本に溶媒が数mm程度残っているものがあることに学生は気付いてなかった。溶媒に浸かって外気に触れていなかったナトリウムは生存し続けていたのであった。水を入れた途端、ワイヤーが金属光沢を見せ始めた。「しまった!」と思う間もなく、火が見え始めた。学生は咄嗟に水を追加して冷却することを試みたが、その効果も見られなかった。いよいよ危ないと判断して、数歩下がった瞬間、大音響とともに水柱が立ち昇り、天井の蛍光灯が割れてガラスの破片が頭の上に降ってきた。学生が流しの中を覗くと、そこに置いてあった洗面器が真っ二つに割れていたのであった。

同じような作業をしていますと、頭を使わずに惰性で動いていることがあります。そのような時こそ、事故が起こりやすいので、気をつけなければなりませんね。