伝言ゲーム


 人から聞いたことを他の人に伝えると、完全には伝わらず、徐々に内容が変わってくることがあります。そういう意味で、できるだけ間に他の人を挟まずに、直接伝達することが重要になります。

 ある学生が文献に記載してある実験方法に従って実験をしていた。しかし、文献に書いてある通りにやっているにも拘らず、目的の化合物は全く得られなかった。試薬と時間と労力を無駄にすることに疲れた学生は先生に相談して、どの実験操作が悪かったのかを検証することにした。
 先生「なんで、ここで酸性にしたん?化合物は酸に対して不安定なんちゃうん。」
 学生「文献に書いてますよ。ほら、ここに酸性にするようにと書いてありますもん。」
と言いながら、学生が作っている文献ノートの該当箇所を指差した。
 先生「いや、日本語に訳した文章やなくて、オリジナルの論文を見せて。」
学生に論文のコピーを持って来させて目を通した先生は「ここに酸性にしないようにと書いてあるやないか。ここのnotを訳し忘れてるから、逆の意味になってるんやで。」学生は実験を最初からやり直さなければならなかったのであった。

英語の論文を読むことになれていない学生は、英語を日本語に訳して、その日本語を読みながら理解しようとします。しかし、ステップが増えると、精度が低くなってしまいます。言わば、一人伝言ゲームをしているようなものです。英語の文章から直接意味を理解できるようにするべきですね。