アキレス腱


 アキレスは赤ん坊の時に体が強くなる液に浸けられたために無敵でした。しかし、浸けられる時に足首の腱をつままれていたために、その部分だけが強くなっておらず、そこを弓で射られて死んでしまいました。それ以来、唯一の弱点をアキレス腱と呼ばれるようになりました。

 ある学生が反応を仕込もうとしていた。ナス型フラスコに試薬を量り取り、溶媒も加えた。その時、試薬がいつもより溶けにくい様子を見て、「あっ、そうや!回転子を入れるんを忘れとった」と気付いた。回転子が置いてある引き出しを開けると、フラスコの大きさに見合った大きさのものが見当たらなかった。ようく探してみると、引き出しの奥の方に転がっているのを見つけた。
 その回転子は、しばらく使っていなかったようで、表面に何か茶色いものがこびりついていた。学生は回転子をピンセットでつまみ、アセトンをかけて洗浄したところ、その汚れは容易に落ち、本来の白さを取り戻した。その回転子をフラスコの中に静かに入れると、先ほど見たばかりの汚れの色に反応容器が一気に染まってしまった。学生はそのまま反応を行なう気もなくなり、全て廃棄してやり直したのであった。

回転子をピンセットでつまんで洗っていたために、つままれていた部分が洗われていなかったのですね。アセトンを染み込ませた紙で拭き取っていれば、全体の汚れをきっちり落とせていたのでしょうが。