なれ


 人間の嗅覚はかなり敏感な器官ですが、すぐに疲れてしまいます。別の言い方をしますと、臭いに慣れてしまうのです。慣れる臭いは人それぞれで、ある人にとっては平気な臭いも他の人にとっては耐えられないということもあります。

 ある学生が使わなくなった試薬を廃棄しようとしていた。その学生は、他の学生とは離れた別の部屋で実験をしていたのと、ほんの少量しか使わないために、これまで実験室に廃液溜を用意する必要がなかった。しかし、今回はきっちりと処分をする必要がある。そこで、他の学生が実験している部屋にやってきて、廃溶媒が入っているポリタンクにその試薬を捨てた。
 数分後、研究室中の異臭に、実験をしていた学生達はパニックに陥っていた。ある学生は気分が悪くなり、ある学生は自分の服に臭いが染み付いたことをすごく気にしていた。窓を開けて換気をしながら、タンクに中和剤を入れるなどの処置をして、ようやく落ち着いたが、試薬を捨てた当の本人は、臭さを感じていないために、周りの人間が何故そんなに騒いでいるのかが分からなかったのであった。

他の人に迷惑をかけないように、普段から注意を払っておかなければなりませんね。もしかしたら、知らないうちに自分の身体にくさい臭いが染み付いているかもしれませんから、他の人に時々チェックをしてもらう必要があるかもしれません。気に加えたのと同じ状態になり、反応が暴走してしまったと思われます。何事も適度に行なうことが大切ですね。