原料合成や既知の化合物を合成する際、雑誌の論文や先輩の卒論を参考にして実験をします。
ある学生が先輩の卒論を見ながら実験をしていた。しかし、書いてある通りにやっても思うような結果が全く得られない。何度も卒論を見返したが間違えた箇所はない。先輩に尋ねようにも卒業してしまっているので、聞くことも出来ない。
そういうことが２、３回繰り返された後、学生はその卒論を持って先生のところへ行き、相談することにした。卒論の実験項を見せながら、実験手順を説明していたところ、先生が一言、「これ間違えてんで、こんな方法はあり得んわ」そこで、先生に言われたようにやってみると、問題なく進行したのであった。
研究室に入りますと、先輩との実力の差に愕然とします。そんな先輩が書いた論文だから間違えているはずはないと思いがちです。しかし、先輩も最初からばりばり仕事をしていた訳ではなく、初心者の時があったはずです。そのような時に書かれた論文を全面的に信用するのは危ないですね。