mの悲劇


 反応を仕込むということは、必要な試薬量を計算して、それをきっちり量り取り、反応溶液に加えるという操作です。でも、このような単純な手順であっても間違えることがあります。

 研究室に入りたてのある学生が反応を仕込もうとしていた。40 μlの基質に等モルの試薬を反応させるために、学生が計算して出した量は40 mlであった。学生は何のためらいもなく、100 mlの試薬瓶からその試薬を量り取り、反応を仕込んだ。
 その報告を受けた先生は、怒る前に笑ってしまいながら一言。「mmolとmolを間違えてんで」

mが千分の一を表す記号であるということを知らずに実験している人が見受けられます。分かっていたとしても、どう見ても同じようには思えない量の試薬を見て、違和感を感じるような感覚を身に付けるには、しばらく実験に慣れる必要があるのかもしれません。この場合は笑い話で済みますけど、場合によっては危険なこともありますので、十分に注意をしましょう。