かくさんとしてかくさんす


 CH3COOHはIUPACの命名法ではEthanoic Acidであり、日本語ではエタン酸と言います。しかし、このように呼ぶ人は少なく、慣用名のAcetic Acid(醋酸)という名前の方が一般的です。この化合物は読んで字のごとく、お酢の原料です。

 ある学生が醋酸の入ったガロン瓶を持って何も注意を払わずに歩いていた。当然の結果として、指がすっぽ抜けて床に落として割ってしまった。幸いなことに先生は会議に行って不在である。「今のうちに片付けてしまお」と思った学生は、他の有機溶媒をこぼした時に、扇風機で風を送って揮発させ、換気しながら外へ追い出していたのを思い出した。しかし、こぼした醋酸の量が大量であったことと、揮発性が劣っているために、なかなか気化してくれなかった。それよりもむしろ、周辺の研究室ではお寿司屋さんのような臭いが充満して、クレームも来始めていた。
 その時、先生が帰ってきた。「何をしてんねん!」と言いながら、バケツに水を汲み、床に流して排水口から掃き捨てることによって、被害の拡大を防いだのであった。

何でもかんでも同じ方法を用いるのではなく、化合物の性質を考えながら対処しなければなりません。臨機応変という言葉は重要ですね。