逆関節


 プロレスや柔道で関節技というものがあります。肘や膝が、本来曲がる方向とは逆の向きに力をかけられますので、当然のことながら痛くてギブアップしてしまいます。

 ある学生が実験機械の操作をしようとして、スイッチの前を覆っているプラスチックカバーを持ち上げた。ある程度上げたところが限界であるはずであった。しかし、日頃から筋力アップに余念のない彼にとっては、大きな抵抗に感じなかった。当然の結果として、カバーはバキッという音とともに機械から引き離されてしまった。
 数日後、先生が実験室の様子を眺めていると、機械の上にプラスチックの板が置いてあるのを見つけた。「これはなんや?」という声を聞いて学生が先生に、ことの経緯を説明した。先生からは「カバーを持ち上げて抵抗があったのに、抵抗を感じずにそれ以上持ち上げたのか」ということと、「何故今まで報告をせずに黙っていたのか」ということについて怒られたのであった。

形あるものはいつか壊れます。だからと言って杜撰な扱い方で壊してしまうのはいけませんし、壊したことを報告もせずに放っておくことはもっての外です。悪いことほど早く報告するようにしましょうね。