その違いは大きい


 人に伝えること、人に説明すること、人に分かってもらうことは大変難しいことです。ましてや、相手が予備知識や基本的な知識を持っていない場合はなおさらです。

 ある学生は最近、皮膚の調子が良くなかった。実験で扱っている化合物の1つにアレルギー反応が現れているのは明らかであった。そして、順番に容疑者を消していったところ、最後にニトロ化合物が残った。学生はひどくなる前に直しておこうと思い、皮膚科へ行った。
学生「薬品を使うてたら、こんなにぶつぶつが出たんですけど」
医者「どんな薬品かな?」
学生「多分、ニトロ化合物やと思うんです」
医者「あー、ニトロソ化合物ね」
学生「いえいえ、ニトロ化合物です」
医者「はいはい、ニトロソ化合物ね」
 という会話の後、カルテに「ニトロソ」と書き込んでいるのを見て、学生は「違う病院に行こう」と思ったのであった。

ニトロ(NO2)とニトロソ(NO)は全然違う化合物群ですし、性質も全く異なります。しかし、文化の違う人にとっては「そ」の違いが分からないのでしょうね。