小さな忘れ物


 最近の学会発表では、各自がパソコンを持参して、そこで接続するという発表形式が多くなりました。そのような時にパソコントラブルが起こってしまいますと、パニック状態に陥ってしまいます。

 ある学生の学会での発表が30分後に控えていた。朝に会場に来てパワーポイントを確認したし、準備は万端である。余裕たっぷりの学生はパソコンのスイッチを押した。ところが、うんともすんとも言ってくれない。古くなったパソコンが故障したのである。真っ黒なディスプレイを見て、学生は目の前が真っ暗になり、それとは対照的に頭の中は真っ白になった。そんな時は、他の人のパソコンを借りて、データを保存しているUSBメモリから読み取ればいいのだが、よりによってホテルの部屋に忘れてきた。しかし、今からホテルに取りに帰る時間はない。
 そこで、知り合いの人にパソコンを借り、自分が普段使っているクラウドにアクセスすることにしたが、他のIDでログインしようとすると、認証やらパスワードの再設定などを要求される。時間が少ない中で学生は慌てながらも、入力を終え、ようやくパワーポイントのファイルをダウンロードした。ちょうどその時、自分の発表の順番が回ってきた。学生は脇の下にびっしょりと汗をかいたまま、でも発表に漕ぎ着けて、少し安堵しながら発表をしたのであった。

何が起こるか分かりませんので、バックアップのファイルは必要です。この学生はUSBという小さな忘れ物をしたがために、大きなトラブルに遭遇してしまいました。リスクは最小限に抑えるように日頃から気をつけましょうね。