喉元過ぎれば


 飲む時に熱いと思うものも、飲んでしまえば、熱かったことを忘れてしまうものです。良いことであっても悪いことであっても、すぐに忘れてしまうのは人間の性かもしれません。

 ある学生がバーナーを使ってキャピラリを引いて作っていた。ガラス管をバーナーの火にかざし、柔らかくなれば火から離して左右に引っ張るだけという単純な作業である。しかし、初心者の学生にとっては、その作業も難しい。加熱しているつもりでもガラス管が火から離れてしまったり、回しながら同じ箇所を加熱しているつもりが火の位置がずれたりと苦戦を強いられていた。そのような状況なので、ガラス管を引っ張っても数センチの長さしか引けない状態が続いた。何回かの失敗した後に引っ張った時、面白いように長いキャピラリを引くことができた。学生は嬉しさ満開で、そのキャピラリを切り取ろうとガラス管をつかんだ瞬間、ステーキのにおいが漂い、ヒリヒリとした痛みが指を襲ったのであった。

常識的に考えて、さっきまで火の中で加熱していたものが熱いのは分かりそうなものですが、ガラスは冷めるとすぐに赤くなくなるので、この手の火傷はしがちです。細い部分は冷えるのも速いので、キャピラリの部分から触って少しずつ太い方に移動して、大丈夫な部分を持つようにするべきですね。