レスキュー


 レスキュー隊のニュースをよく見かけます。時には人間だけでなく、狭い排水口に入り込んで抜け出せなくなった猫を助けるシーンもテレビで見ることがあります。

 ある学生がNMRを測定しようとしていたが、エラーが生じて測定することができなかった。サンプルを入れ直してもう一度セットしようとしたが、サンプルが途中で引っかかって上がってこない。懐中電灯を片手にマグネットの上から覗き込んで見ると、サンプルの横に折れたチューブが横たわっていた。
 プローブを抜いて下から取り出すにしても、スピナーが途中で引っかかっている状態では取り出せるかどうかが分からないし、何よりもサンプルの中の溶液がこぼれてマグネットの中を汚したりすると一大事である。そこで、原始的な方法ではあるが、ガラス棒の先端に両面テープを貼り付け、上からそろっと差し込んでいった。先端がスピナーに当たったかと思った瞬間、カチッという音がしてマグネットの底の本来あるべき場所に落ち着いた。中途半端な位置にあるよりは、そちらの方が好都合である。そこで、しっかりとスピナーにテープを押し付けた後に静かに引き上げると、折れたチューブとともにスピナーを回収することに成功したのであった。その後、実験室に戻った学生はNMRチューブにヒビが入っていないかどうかを1本ずつチェックしたのであった。

ガラス器具を大切に扱うことは重要ですが、NMRのように高価な機械に用いる場合は、トラブルが起こった時の方が大変ですので、勿体ないと思わずに捨てた方がいいかもしれませんね。