あ・ぶ・ら


 一般に化学物質というと「危険で怖いもの」というイメージですが、実際には身の回りのもの全てが化学物質です。正しい知識を持って接すれば安全です。特に構造式が分かれば、その物質の性質を予測することもできますので、教育の重要性は改めて言うまでもありません。

 ある学生が原付バイクで帰宅をしていた。ふとメーターを見ると、ガス欠の一歩手前であった。ガソリンスタンドに寄るには遠回りになるので、そのまま家に戻った。翌朝、バイクに乗ろうとしたところ、ガス欠になっており、昨日にガソリンスタンドに寄らなかったことを悔いたが仕方がない。そこで同じ「油」なのでどうにかなるやろという発想でサラダ油をタンクに入れてエンジンをかけた。バイクは出足よく動いたものの、10 mで動かなくなってしまった。
 バイク屋まで押していって、エンジンの中を洗浄してもらうことで復活したが、一歩間違えればエンジンが壊れていたところである。結局、ガソリンスタンドに寄ることを面倒臭がったために、余計に面倒な目にあったのであった。

ガソリンは炭化水素系が中心で、サラダ油は長鎖脂肪酸のグリセリンとのトリエステルです。その構造を考えれば結果は予測できそうなものなのですが、大学の講義で学んだことと実生活がリンクされていないのでしょうね。