うちわで処理


 試薬には数多くの種類があります。その分、性質も千差万別、色んな性質を示すものがあります。四塩化チタンという試薬は空気中の水分と反応して酸化チタンと塩化水素に分解されます。まさに火のないところに煙が立っている状態になります。

 ある学生が先生の指示を受けて、四塩化チタンを用いた反応を行なっていた。先生は用事が入り、研究室には不在である。白煙が出るとは聞かされていたが、どの程度出るのかということまでは知らなかった。実際に仕込みを始めると、想像をはるかに超えた白煙が生じ、実験室が霧の中のような状態になってしまった。
 この状況に学生は「やばい!先生が帰ってきたら怒られる!」と思い、ダンボールの切れ端を団扇にして部屋の外に扇いで出そうとした。とても1人では対応できないことに気づいた学生は、後輩の学生に手伝ってもらいながら30分かけてようやく元の状態にまで戻すことができた。その直後、先生が戻ってきたが、煙で真っ白になっていたことにも、学生の額に汗が光っていることにも気づかれず、内輪で処理することに成功したのであった。

このように危険性の低い場合には笑い話で済みますが、場合によっては危険な場合もあります。何かトラブルがあった時には、隠そうとせずに、先生に報告して指示を仰ぐようにしましょうね。