小さな得、大きな損


 実験器具を使おうと思っても、必ずしも適した大きさのものがあるとは限りません。そのような時は数回に分けるか、仕方なく大きな容量の器具を使って実験することがあります。しかし、そのことが必ずしも適切でないこともあります。

 ある学生がドラフトの中で反応しようと思い、装置を組み立てていた。玉入り冷却管に繋いでいるホースが汚くなり硬くなっていたので、捨てて新しいものに取り替えることにした。新しいホースを使おうと思って引き出しを開けたところ、細いホースがなくなっており、1つサイズの大きなホースが残っていた。注文してもすぐに来る訳でもないから、これでいいかと思い、太いホースを挿して、結束バンドで締めておいた。
 翌朝、学生がドラフトの中を見ると、そこには油まみれになった悲惨な光景が広がっていた。バンドで締めていたとはいえ、ホースには微妙なたわみが生じていて、そこから漏れた水が油浴に入り、中の油を全て外に押し出してしまったのである。学生はドラフトの中の器具を全て外に出して、大掃除をする羽目になったのであった。

ガラス器具でしたら、少し大き目の器具を使うということもできますけれど、ホースのように器具との密着性が必要で、中に液体を通すような場合は、当てはまらないですね。場合によっては大事故に繋がることもありますので気をつけましょう。