琥珀


 研究室は共同生活の場でもあります。自分自身が他の人に迷惑をかけないのは当然のことですが、他の人が放っておいたものを片付けるのも大事です。しかし、中には「それは自分がしたことではないので」と対応しない人もいます。

 ある研究室で使用しているドラフトチャンバーの吸引力が突然低下した。先生はファンベルトが切れたのかもと思い、屋上に上がってみると、案の定モーターのベルトが切れていた。しかし、モーターが回っている状態では、ベルトを交換することもできないので、携帯電話で研究室の学生にドラフトのスイッチを切るように指示をした。しかし、しばらく待っても一向に止まる気配がない。再度電話をかけて「スイッチを切るくらい大したことないやろ」と学生に言うと、学生からは「スイッチを切ることができません」という返事。
 電話では埒があかないので、研究室に戻ってくると、ドラフトのスイッチはオイルバスの油が固まって琥珀のようになっていた。「油をこぼしたらすぐに拭けよ」「他の人が油をこぼしたとしても見て見ぬ振りするなよ」などとボヤきながら、スイッチの周りを針でほじくり、スイッチが動くようにした後に、再び屋上へと上がっていったのであった。

家の台所で油がこぼれているのを見かけますと、拭き取りますよね。研究室でも同じです。自分がこぼしたものではないにしても、見かけたらすぐに掃除をするようにしましょうね。綺麗な状態を保つようにすると、他の人も汚さないようになりますので。