二進も三進も


 何か問題にぶつかった時、課題が1つであれば比較的対応が簡単です。しかし、2つ以上ありますとどのように対応して良いのかが分からず、二進も三進も(にっちもさっちも)行かないことがあります。

 ある学生が不要になった硫酸を処理しようとしていた。硫酸は溶解熱が非常に大きいため、水を加えると大きな発熱、そして時には突沸が起こることがあるので、希釈したアルカリ水溶液に様子を見ながら少しずつ硫酸を加えて中和した。緊張感の漂う操作も無事終了し、用いたガラス器具を洗おうと流しに持って行った時、その器具からポトリと腕に落ちた。
 学生は水で洗うのは危険だと感じたものの、かと言ってそのまま放置しておくこともできず、どうしたものかと考えた。そして、大量の水で洗えば発熱しても大丈夫という結論に達した。実際に水で流すと、熱さは感じなかった。「なんや、心配して損した」と思った矢先、硫酸が付いていた部分の皮膚がずるっと剥けて流れ落ちていくのが見えたのであった。

どういう試薬であっても、皮膚に付いたら十分に水洗いするのが基本です。その前に皮膚に付けないようにするのが大切ですけれどもね。