スクリーンセイバー


 NMRは有機化学を研究する人にとって必要不可欠な装置です。当然、多くの人が使用しますので、順番待ちすることも多々あります。そのような時、オートサンプラーがあればセットだけして測定が終わった頃に取りに行くということもできるのですが、ほとんどの大学ではないのが普通です。

 ある学生がサンプルを持ってNMRの測定に向かった。普段から順番待ちで長時間待たされることにイライラしていたので、せめて自分が測定する際は出来るだけ短時間で済まそうと考えていた。部屋に入ると、イジェクトボタンを押してマグネットに圧縮空気を送りつつ、パソコンのスクリーンセイバーを解除した。その時、後ろのマグネットのところで「カチャリ」という音がした。学生が振り向くと、そこにはサンプル管が顔を出していた。「しもた。他の人が測定してたのに出してもた。」と思っている間に、パソコンの画面には測定中を示す表示が現れた。学生は慌てて、空気を止めて、出てきたサンプルをマグネットの中に戻した。そして「測定が終わったら、声を掛けて下さい」というメモ書きを残して去った。
 しばらくして先輩がやってきて「NMRの測定が終わったで。」と声を掛けてくれた。続けて「ちょっと調子が悪いんかしれんけど、変なところにノイズが出たわ。」との報告に冷や汗をかきながら、「僕が測定する時も、出るかどうか確認しときますわ。」と言いつつ、先輩が取り敢えず測定できていたことを知ってホッとしたのであった。

共同で利用する機器の場合は、お互いに迷惑がかからないように使用するのが重要です。そのためには、しっかりと使用ルールを決めておかなければなりませんね。