カラムの実験が終わりますと、不要になった充填剤を取り出して廃棄します。終わった直後は容易に取り出すことができるのですが、しばらく放置したままにしておくと固まってしまい、取り出すのも一苦労です。
ある学生が数日間放っておいた使用済みのカラムからシリカゲルを取り出そうとしていた。溶媒を十分に含んでいる状態であれば滑らかに出てくるし、完全に乾燥していると、サラサラの粉末状になっているのでこれも容易に取り出すことができる。問題は中途半端に乾燥している状態の時である。ガスの圧力で押し出そうとしても、空気の通り道ができてしまっているためにビクともしない。そばを通りかかった先輩が「ドライヤーで加熱すればサラサラになって取り出せるようになるで」と教えてくれたので、学生が試してみると充填剤の隙間に残っていた溶媒が気化して乾燥していく様子が見られた。しかし、なかなか時間がかかりそうである。
その時、学生はあることを思いついた。「器具の乾燥機に入れておけば全体が加熱されて乾燥できるんやないか。」早速、乾燥機の中にカラムを置いてしばらくしてから扉を開けてみると、真っ白な世界が広がっていた。溶媒が気化した圧力に負けてシリカゲルがバズーカ砲のように吐き出されたのである。結局、学生は乾燥機の掃除をしなければならなくなり、「面倒臭がらずに使った直後に出しとけば良かった」と思ったのであった。
使い終わったらすぐに片付けるのが基本です。面倒に思って放っておくと、さらに面倒な状態になることがよくありますのでね。