星一徹


 「星一徹」という名前を聞いて、「あ〜、あの人」とすぐ分かる人は年齢層が上か、かなりマニアックな人のどちらかだと思います。昔、巨人の星という漫画があり、主人公である星飛雄馬の父親が星一徹です。頑固親父であり、気にくわないことがあると、卓袱台をひっくり返すというシーンは有名で、巨人の星は知らなくても、それを真似たシーンは見たことがあるのではないでしょうか。

 学生達が学生実験をしていた。実験台の下には予め各班に分配されたガラス器具を入れたプラスチックボックスが置いてあり、そこから必要な器具を取り出して使用するというシステムであった。しかし、学生達はいちいちしゃがんで、必要な器具を探しては取り出すという作業を面倒臭く感じていた。その内にプラスチックボックスを実験台の上に置いて、そこから器具を取り出すようになった。そのような大きなものを実験台の上に置いているので、横の小さなスペースで実験をせざるを得なかった。その様子を見る度に、先生も「ボックスを下ろして実験台の上を広く使うように」と繰り返し注意をするものの、しばらくすると元の状態に戻っており、イタチごっこの様相を呈していた。
 ある班のところでも同様の様子であったので、先生が注意をすると、学生は「はい」と素直に返事してボックスを持ち上げた。その時、ボックスが実験器具に引っ掛かり、隣の器具までなぎ倒してしまった。実験台の上はひっくり返した卓袱台状態である。いくつかのガラス器具を一度に割ってしまったショックと、実験パートナーに対する申し訳なさとで、彼女は泣き出してしまった。慌てたのは周りの学生達である。「片付けるのはすぐやから」とか「すぐにやり直せる実験やから」などと慰めながら、片付けを手伝ったのであった。

実験を失敗する人の多くは、実験台の上が乱雑になっていることが多いです。実験台はできるだけ広く使って、整理するようにしましょうね。