誇り高く


 真空ポンプは実験室になくてはならない機械ですが、溶媒や酸性ガスなどを吸い込みますと故障の原因になります。従って、吸い込み口の手前には冷却トラップやアルカリトラップを設置する必要があります。

 ある研究室では、試料乾燥用に真空ポンプを使っているので、毎朝冷却装置のスイッチを入れるとともにトラップ内に溜まった液体を棄てることになっていた。ある学生がいつものようにスイッチを入れたが、作動する気配が見られない。「おかしいなあ」と思いつつ、真空ポンプのスイッチを入れても全く動かない。周りの機械は動いているのでブレーカーが落ちた訳でもなさそうである。そこで、先生のところに報告に行ったところ、「フィルターの掃除をしてるか?」と訊かれた。
 学生は訳の分からないまま実験室に戻り、冷却装置のフィルターを見てみると、そこには1cm位の厚みで埃が溜まっていた。その埃の層を取り除くと冷却装置は復活したが、真空ポンプは帰らぬ人となってしまったのであった。

フィルターが目詰まりしますとオーバーヒートの原因になります。ある程度温度が上がると、電源が自動的に落ちるように設計されています。その結果、トラップされるべきガスが全て真空ポンプに吸い込まれてしまい、故障したのだと思われます。そういうことが起こらないように、フィルターの掃除はこまめに行なうべきですね。ホコリのせいで、高くついたというお話でした。