マジック


 マジックインキ(通称:マジック)というのはなんにでも書けるためにそのような名前がついたそうですが、一般的な生活の中では消すことができないというイメージがあります。しかし、研究室の中では有機溶媒がたくさんあり、すぐに消すことができますので、ガラス器具に中に入っている試料名をマジックで書いたりすることがよくあります。

 ある学生が実験を仕込もうとしていた。研究室で実験を始めて半年も過ぎ、ようやく実験にも慣れてきた。それに伴って、先生からの指示も増えてくるようになった。3つのナス型フラスコを油浴に浸けることができたので、3つの反応を同時にすることにした。どのフラスコがどの反応かを区別するために、フラスコにはマジックで実験番号も書いており、準備は万端である。
 所定の反応時間が過ぎ、後処理をするためにフラスコを油浴から引き揚げてみると、区別するために書いてあったマジックがきれいに消えており、どのフラスコがどの反応かわからなくなってしまった。結局、全ての反応を最初からやり直さなければならなかったのであった。

「似たものは似たものを溶かす」  油浴の油も有機溶媒の1種であるということに注意して実験するべきですね。