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 体調を崩すと、集中力が途切れてしまいます。しかし、学生実験のように出席点が大きな比率を占める科目では、そう簡単には休むこともできません。

 ある学生は昨夜から風邪気味で少し熱もあるが、学生実験なので欠席することもできないので、重たい体を引きずって大学にやってきた。分液漏斗で抽出をしていたところ、下のコックを開けても溶媒が落ちてこない。よく見ると、上の栓をしたままであった。「あぶない、あぶない。失敗するところやったわ。」とつぶやきながら、下のコックを閉じて、上の栓を抜いた。
 学生は仕切り直した。集中力を切らさないように、下のコックを開けていった時、思わずくしゃみをしてしまった。目を開けると、手にしていたコックが半ば引き抜かれ、実験台に内容物の半分以上をこぼしていた。その様子を見た先生に「もう今日はええから、帰って寝とけ」と言われ、負けを宣告されたのであった。

実験は危険を伴うことがあります。体調が悪い時には失敗をしやすいので、無理をせず、思い切って休むことも必要です。結果的にはそちらの方が効率良く進められますので。