手抜き


 濃度を計算して溶液を調製するという作業は、慣れてしまえばどうってことがありませんが、慣れていない人にとっては面倒臭い作業の1つです。

 ある学生が文献を見ながら反応を仕込もうとしていた。実験項を見ると1 Mの溶液が必要であったが、自分で調製しなければならない。計算が面倒になった学生は1 molの試薬を天秤で計り取り、1 Lの溶媒に溶解させた。
 その様子を見た先生が「えらいたくさん溶液を作るねんなあ。実験にはどれ位の量が必要なん?」
 学生が文献を見ながら「えっと、0.5 mLです」と答えた。
 「そしたら、残りの999.5 mLはどうやって処分するん?」
 「・・・」

計算するのが面倒だと思って大量に調製すると、廃棄の際にもっと面倒なことになります。実験上達には、手の抜き方を考えるのも重要ですね。