水臭い


 「水臭い」という言葉には「よそよそしい」などの意味もありますが、「水分が多くて味が薄い」という意味もあります。

 ある学生がアンモニア水を用いた実験を行なおうとしていた。論文の実験項を読むと、5%濃度のものを使用していたので、冷蔵庫に保管してあった濃アンモニア水の瓶から必要量を取り出し、20倍に希釈して反応に用いた。しかし、論文に書いてあるような反応は全く進行していなかった。
 不思議に思った学生が先生のところに相談に行くと、先生が「濃アンモニア水の濃度はなんぼや?」と尋ねたので、「100%です」と答えると、「もういっぺん出直しておいで」と言われた。学生は「水臭いなあ」と言いながら自分の席に戻ったのであった。

アンモニア水や塩酸は、それぞれアンモニアガスや塩化水素ガスを水に溶解させたものですが、無制限に溶解する訳ではなく、これ以上溶けないという状態、すなわち飽和に達します。その飽和溶液を濃アンモニア水や濃塩酸と呼んでいます。濃度にして25%や37%ですので、この学生のように希釈すると水臭い溶液ができてしまうのは当然ですよね。