コバンザメ


 ほとんどの反応では撹拌をします。固体があるような不均一系では、撹拌効率の違いで結果が大きく左右されることもあります。

 ある学生が反応を仕込んでいた。用いる粉末試薬は長時間放置しておくと発火する性質があったので、最後に加えることにした。粉末以外の試薬を全てフラスコ内で溶媒に溶解させ、そこに薬包紙上に秤り取った試薬を入れようとしたが、若干吸湿性があったために、全て加えることができなかった。薬さじを使って入れようとすると、今度は薬さじにくっつく始末。最後は薬さじをフラスコの溶液に突っ込み洗い落とすことによって、ようやく全てを添加することができた。
 しかし、反応系を見ると、撹拌されていない。マグネティックスターラーのつまみを最大に回してもびくともしない。「なんで攪拌できひんのやろ?」と呟くと、向かいの実験台の学生が一言。「薬さじの裏に回転子がくっついてんで」「・・・」

磁石はスチールにくっつきます。気をつけましょうね。