ほっと一息


 昔は加熱と言えばバーナーによる加熱でしたが、安全上の問題から電気加熱に変わっていきました。また、温度調節もスライダックで電圧調整しながら行なっていましたが、今では熱電対で温度を感知しながら自動的に温度調節できるようになっています。

 ある学生がニトロ化の反応を仕込んでいた。フラスコに全ての試薬を入れ終わり、あとは加熱するだけである。学生は温度コントローラの温度設定をして、加熱を始めた。後は一定温度で加熱してくれるので、待つだけである。学生は熱いコーヒーを飲みながら一息ついた。
 しばらくすると、他の学生が油浴から煙が出ているのを見つけて、学生に知らせた。慌てて見に行くと、200度近くまで加熱されていた。温度を感知する熱電対を油浴に入れ忘れていたのである。様子を見に来た先生には「よう爆発せんかったな」と言われたのであった。

いくら自動化されていると言っても、作業をするのが人間である限りミスをする可能性は大いにあります。反応を仕込む時は、ある程度落ち着いて定常状態になるまでは、傍で観察をしておくべきですね。