供給源


 真空デシケータは、減圧乾燥しますので通常のデシケータに比べて乾燥の効率が良く、非常に重宝します。そこに青色シリカゲルなどを敷いておくと、減圧していない時も乾燥してくれますので、より効果的です。

 ある研究室では、真空デシケータの底に青色シリカゲルを敷き詰めていた。研究室に配属された4年生は、それを見て「なるほど〜」と思っていたが、ある時ふとそのシリカゲルがピンク色になったり青色になったりしていることに気づいた。そこで注意して観察していると、多くの学生がデシケータを使い終わった後、コックを閉じていないために、湿気を吸い込んでピンク色に変わっていることが判った。そのようなシリカゲルであっても減圧乾燥を始めると再び鮮やかな青色に戻ったので、問題ないように思ったのであった。

青色シリカゲルには塩化コバルトが含まれており、水が配位しますと錯体の色がピンク色に変化します。その性質を利用して、シリカゲルに吸湿能力が残っているかどうかの目安に使っています。この研究室の問題は、デシケータのコックを開きっぱなしにしているので、シリカゲルが外部からどんどん湿気を吸い取っていることにあります。減圧すれば青色に戻るから大丈夫と思っているかもしれませんが、それまでの間に吸着した水分が取り除かれますので、肝心の試料の乾燥の効率はむしろ悪くなっていることに気づくべきですよね。