夏休みの働き蟻


 大学の夏休みは結構長く、講義がない期間は講義室や学生実験室に誰も入室しないこともあります。研究室は活動しているのでしょうけれど。

 ある先生が夏休みの終わりに学生実験室に入った。後期がもうすぐ始まるので、学生実験に必要な器具が不足していないかを確認するためである。ゴミ箱を見ると、お菓子の包みが捨てられていた。実験室内では飲食をかたく禁じているので、廊下でゴミ箱が見つからず、実験室に持ち込んで捨てたのであろう。「誰かゴミくらい捨てといてほしいよなあ」と呟きながらゴミ袋を探すために引き出しを開けた。
 開けた引き出しの中は黒かった。しかし、うごめいていた。ようく見ると、それは全て蟻であり、引き出しに入っていたピペットの中には孵化が間近な卵がぎっしり詰まっていた。「気色悪っ」と思いながら、しばらく観察した後に、引き出しの中の蟻の駆除に取り掛かったのであった。

お菓子に誘われてやって来た蟻が住み心地の良さそうな場所を見つけたのでしょうね。講義のある期間なら、住み着くこともなかったのでしょうけれど。夏休みであっても蟻たちは働き蟻のように?働いていたのですね。