メチレン差


 メタンから水素1つを除くとmethylに変わり、2つ除くとmethyleneに変わります。メチレンが1つ違っても同様の性質を示します。このような関係を同族体と言います。

 ある学生はペンタンを愛用していた。通常、非極性溶媒としてヘキサンを用いることが多いが、ペンタンは沸点が36度と低いので濃縮スピードが速いのである。また、普通のガラス瓶ではキャップをいちいち回して外すのが面倒なので、実験台の隅に放置されていた口の部分がスリ合わせになった褐色瓶を用いていた。これならガラス栓を持って持ち上げるだけで、容易に開けることができる。このような効率化をしたことに満足をして、窓際の実験台で機嫌良く実験をしていた。
 夏の夕暮れ時、実験室の気温もそれなりに上がっていた。その時、実験台でポンという音がした。見るとスリ合わせのガラス栓が垂直に飛び上がり、真っ直ぐに落ちて瓶に当たって割れ、実験台の上にペンタンが広がった。一瞬の出来事であったので、学生は手を出すことさえできなかった。それからはヘキサンを用いることにしたのであった。

メチレン基の数が1つ違うだけですが、分子量は14違いますと物性も異なります。褐色瓶で遮光しているとはいえ、窓際に置いてたので太陽の光を吸収してそれなりに温度が上がっていたと思われます。スリ合わせのガラス栓は少し重たいので、気化した溶媒の蒸気は栓を持ち上げて逃げ出すこともできず、瓶の中は加圧になっていたのでしょう。一方では耐えられた状況でも、もう一方には耐えられなかったということもあるのでしょうね。