ゆるみ


 実験の失敗は初心者が最も多くするのは当然ですが、実験の事故は初心者よりもむしろ、実験に慣れてきた初級者の段階で多く会います。

 ある学生が水酸化ナトリウム水溶液を調製していた。保護眼鏡を自分の机に置いたままであることに気づいたが、「まあ、ちょっとくらいの間やったらええか」と思い、ガラス棒でかき混ぜていた。その時、突然目頭が熱くなって、痛みも伴ってきた。学生はパニックになりつつも水道のところに行き、目を十分に洗った。その後、先生に眼科に連れて行ってもらった。
 眼科では瞼の裏の少しただれたところを削り取り、生理食塩水を1 L使って目を洗浄した。処置をされたところは少し痛みが残ったものの、目は普通に見えたので胸を撫で下ろしたので合った。

実験の初心者の時は、こわごわ試薬を触っていますので、大きな事故に繋がることは然程ありません。しかし、実験に慣れて経験値が増えてきますと、「これくらいは大丈夫」という根拠のない自信が芽生えてきます。そのように少し気が緩んだ時に事故は起こります。慣れた時こそ、気をつけたいものですね。