不満噴出


 どのような場所でも不満というものは生じますが、それを無理矢理押さえ込もうとしますと、どこかで噴出してしまうものです。適当なところでのガス抜きが必要であるということでしょうか。それは分液漏斗を使う時も同じことです。

 ある学生が反応の後処理を行なっていた。酸性の水溶液からエ-テル抽出をした後、重曹水(炭酸水素ナトリウム水溶液)で洗浄して酸を除くという操作である。エ-テルという揮発性の高い溶媒を使っていたこと、酸と塩基を混ぜた時に中和熱が生じること、重曹水を中和すると炭酸ガスが発生するということの3つの不満が、分液漏斗の中の圧力を一気に上昇させた。
 それに対して学生は、圧力に負けないように手でしっかりと栓を押さえ、力づくでの鎮圧を図った。その状態で分液漏斗を逆さに向けた瞬間、分液漏斗の横っ腹が割れて中の溶液が噴水のように噴き出した。運悪く吹き出した先に立っていた先生にかかり、まるで粗相をしたかのようになってしまったのであった。

このような場合は、ガスが発生するのが治まるまで待ってから栓をするべきですし、発熱する場合には氷で冷やすなどの対処もしておくべきですね。そして、こまめにガス抜きをするようにしましょう。