がんじがらめ


 がんじがらめに束縛されますと、息苦しくなって息抜きをしたくなるものです。それは実験装置でも同じかもしれません。

 ある学生が反応を仕込んでいた。クランプで固定したナス型フラスコに試薬を入れ、その上に玉入り冷却管を挿した。そのまま油浴に浸けたものの、冷却管の背が高いために重心が高く、少し不安定である。そこで、もう1本のクランプを持ってきて、冷却管を固定した。その状態に満足した学生は、加熱を始めた。
 翌朝、反応の様子を見に行くと、ナス型フラスコに入っていた溶媒は全て蒸発してしまい、干からびた固体がフラスコの底に残っていた。そのような状態では、ちゃんとしたデータが得られないので、学生は実験を最初からやり直したのであった。

すり合わせのガラス器具は挿すだけで密着します。しかし、学生がクランプでがんじがらめにしたために、擦り合わせの部分に隙間が空いて溶媒の蒸気がそこから外に漏れてしまいました。冷却管を支えるクランプを緩めにしておいたら、そのようなこともなかったのでしょうね。