帯に短し襷に長し


 実験が上手な人とは、複数の作業を並行してできる人です。同じ時間働いていても、効率が全然違いますので。

 ある学生がTLCを展開していた。プレートにキャピラリでスポットを打ち、展開溶媒に浸けて展開していると、なかなかすぐには上がってくれない。その時間が勿体なく思えた学生は、その時間を利用して濃縮の作業を始めた。エバポレータにセッティングが終わり、TLCの様子を見ると、溶媒はすでに頂上に達しており、オーバーフローしていた。
 そこで、TLCをもう一度展開しながら、実験ノートを整理していると、またもやオーバーフローしてしまった。そのようなことを3、4回繰り返した時、「TLCを展開している時は、何もせずに横で見ておいた方が結果的に早い」という事実に気付いたのであった。

TLCの展開している時間は待っていると長く感じますが、他の作業をするには短いものです。失敗して何度も繰り返すくらいなら、他のことは何もせずに、1回で終わらせた方が良いですよね。