語彙


 自分では面白いと思う結果が出たとしても、それを言葉にして伝えることができなければ、他の人には面白いと思ってもらえません。それは他の場面でも同様です。

 ある学生が放置していたフラスコの中に白い固体があるのを見つけた。「もしかしたら、分けるのに苦労していた化合物が結晶化したのではないか」と思い、先生のところに報告に行った。
 学生「白い結晶が出たんです。」
 先生「白い固体なんか、無職の結晶なんか、どっちやねん。」
 学生「白い固体です。なんかティッシュを濡らしたような感じです。」
 先生「NMRは測定したんか。」
 学生「極性溶媒を使っても溶けてくれへんのです。」
 言葉のやりとりでは分からないことだらけの状態に、我慢の限界に来た先生は「実物を持って来て」と言った。そして、学生が持って来た固体を見て「これはティッシュみたいなんやなくて、ティッシュそのものやで」と言った。それを聞いた学生は意気消沈してすごすごと帰っていったのであった。

このようなやり取りをできるというのが、研究室教育の大事なところです。何度も繰り返すことによって、自分の言葉で説明ができるようになるのでしょうね。