身代わり


 自分では悪いことをしていなくても、思わぬとばっちりを受けることがあります。

 ある学生が水素化ナトリウムを用いた実験をしていた。反応には少し過剰に用いていたので、未反応分を処理する必要があった。学生が傍にいた先輩に処理方法を尋ねたところ、「氷で冷やしながら少しずつ水を加えていったらええよ。」との返事。しかし、学生が反応容器を見ると、それほど残っている様子でもない。氷を取りに行くのが面倒になった学生は、フラスコに水を一気にっ加えた。
 水素化ナトリウムは泡を出し始め、フラスコが熱くなっている様子が手の平に伝わってきた。「これは危ない!」と感じた学生は、先輩に「はい!」とフラスコを手渡した。先輩が咄嗟に手を出してフラスコを受け取った瞬間、「ポン!」という音とともに、フラスコから火が出た。フラスコは割れることもなく、誰も怪我を負わなかったものの、その様子を見た学生が悪びれることもなく、「良かった。女の私が持っている時でなくて。」と放った言葉に対して、怒りが収まらなかったのであった。

改めて言うまでもなく、自分の失敗は自分で責任を持つ必要があります。自分では対応できない場合は、他の人に助けを求めることは全然問題ありません。しかし、感謝の気持ちは持つようにしましょうね。