春の雪


 新年度を迎えると、気分を新たに頑張ろうという気持ちになります。窓の外を見ると、春の日差しが降り注ぎ、暖かそうに見えますが、実際に窓を開けると、意外に寒かったりします。

 ある学生がNMRの試料調製をしていた。極性が高い化合物であったために、重DMSO(ジメチルスルホキシド)を溶媒に用いることにした。しかし、溶媒の瓶を見ると、まだ凍ったままであった。学生は瓶を手で握って温めて溶媒を融かした。
 液体になった溶媒を注射器で吸い上げて、注射針をNMRチューブに差し込み、プランジャーに力を込めた。すると、注射針が吹き飛び、シリンジから飛び出した溶媒はキラキラと光って舞い落ちていったのであった。

これは溶媒が注射針の中で凍って詰まらせたために、圧力の逃げ場がなくなり注射針を吹き飛ばしたのでしょう。酢酸、t-ブチルアルコール、DMSOなど、融点が高い溶媒を肌寒い時期に使用する際は気をつけるべきですね。特にスリ合わせの器具を用いる場合はご注意を。