アンバランス


 最近の学生は体を使った遊びをあまり体験していないせいか、「これは常識やろ」というようなことを、疑問に感じずにすることがあります。

 ある学生が学生実験で、試薬を溶解させていた。50 mLのビーカーに試薬を秤量し、溶媒を加えた。しかし、その試薬は溶解性が低く、容易には溶けてくれなかった。学生はガラス棒を取り出して、カチャカチャと音を立てながら撹拌した。そばを通った先生に「そんな音立てながら撹拌してたらビーカーが割れるやろ」と注意を受けたりしながら10分間格闘した結果、ようやく全て溶解させることができた。
 「ちょっときゅうけい」と言いながら、ビーカーをガラス棒が差さったまま実験台の上に置いた。その途端、ビーカーは倒れ、苦労して調製した溶液は全て実験台からこぼれ落ちたのであった。

ビーカーは小さいのに、そこに20 cm程度の棒を差したまま置くと、バランスが悪くて感覚的に倒れそうだと思うのですが、そういう経験を小さい頃にあまりしてこなかったのでしょうかねえ。