個体識別


 世の中には色々な場面で個体を識別する必要があり、多様な手法が用いられています。それは特別なことではなく、実験室でも同様です。

 ある学生が友達の実験台のところへ行き、雑談をしていた。他の人の実験台は、自分が見ている風景とは異なるので興味津々で眺めていた。その実験台はお世辞にも整理されているとは言えず、中身の入ったナス型フラスコも散乱していた。その学生はさまざまな光を吸収する化合物を合成していたので、実験台の上はカラフルであった。「自分の実験台は茶色い化合物しかないのに」と思いながら、その内の1つを持ち上げて色を見て、実験台に戻した。その時、友達が突然叫んだ。「なにしてんの!何の試料か、フラスコを置いてる場所で覚えてるのに!」
 幸い、学生はフラスコを置いた場所を覚えていたので、元に戻すことができたが、近くにいた先生がその一部始終を見ていた。そして、「勝手に触ったのも悪いけど、フラスコに中身が何であるかをマジックとかで書いてなかったお前の方がもっと悪い」と指導を受けたのであった。

乱雑にしていても頭の中では整理されている人がいますが、それは少数派です。やはり、実験台は整理をしておくべきです。そうすれば、頭の中も整理されて次に何をすべきかが見えてくるようになりますので。