無意味乾燥2


 実験室で扱う器具には色々あります。用途や使い方も様々ですが、その洗浄の仕方や管理の仕方も器具によって異なります。

 ある学生が分液漏斗を使って抽出しようと思ったが、綺麗なものは全て出払っていた。そこで、先程別の実験で使った分液漏斗を洗って使うことにした。水道水で洗って汚れを取ったので、見かけ上は使用するのに問題がないように思えた。しかし、学生は内部に付着している水滴が気になった。そこで、分液漏斗内をアセトンで洗って水を置換した後、乾燥機に入れてしばらく待つことにした。
 乾燥機から取り出した分液漏斗を見ると水滴が完全に消滅していた。学生は気分良く抽出するべき水層を入れ、抽出溶媒であるジエチルエーテルを加えた。そして、栓をして振ろうと思った瞬間、栓が外れ中身を床にぶちまけた。学生は突然の出来事に驚き、ほんのりと温もりが残っている分液漏斗を片手に立ち尽くしていたのであった。

ガラス器具を洗ったら乾燥するのは当然のように思われます。しかし分液漏斗の場合、水を入れて濡らすものなので完全に乾燥させておく必要はありません。むしろ、乾燥機に入れたことによって熱くなり、その熱でジエチルエーテルが気化して、内部の圧力が高くなってしまったものと思われます。なんでもかんでも同じように扱うのではなく、用途や目的を考えて行動するべきですね。