ケルベロス


 ケルベロスとはギリシャ神話に登場する頭が3つある冥界の番犬です。何かの機会に見たことがある人も多いと思います。

 ある学生は研究室に配属されたばかりで、やることなすこと、全てが新鮮であり楽しんで実験をしていた。早速、原料合成をすることになり、3つ口フラスコに冷却管や滴下漏斗を取り付け、本格的な有機合成を行なった。目的生成物は析出するので目視で反応が進行したことを確認できる上に、吸引ろ取するのみで単離できるという初心者にはうってつけの実験であった。
 反応が終わったようなので、学生は求引ろ過の準備をした。3つ口フラスコに取り付けた冷却管と滴下漏斗も取り外し、ろ過を始めた。ヌッチェ(ブフナー漏斗)に反応混合物を流し込んでいると、中央の口だけでなく、両側の口からも流れ出し、実験台の上に広がっていった。その様子はケロベロスの3つの頭から涎を垂らしているように見えた。当然のことながら生成物の収率は激減したのであった。

3つ口フラスコを横に持つ(3つの口が水平になるように持つ)とこのようなことが起こるのは当然ですね。縦に持つか、残りの口を栓で塞ぐかすれば良いのですが、それ位は自分の頭で考えてもらいたいものですね。