泣きっ面に蜂


 不幸の上に不幸がやってくるという踏んだり蹴ったりの状態を「泣きっ面に蜂」といいます。

 ある学生が減圧蒸留の装置を組み立てていた。時刻は昼を過ぎており急がないとバイトの時間までに蒸留を終えることができないように思えた。減圧蒸留では減圧度を測ることが重要である。「他の研究室やったらデジタルのマノメータを使用してんのに、うちはなんでマノメータなんやろか」とブツクサ言いながらマクラウド式のマノメータを抱えて持ってきていると、背面から水銀がこぼれ落ちた。水銀の量が変わってしまっては、正確な量を測ることができない。そこで、どうしたものかと先生のところに指示を仰ぎに行った。先生には「マノメータがちょっと汚れてるから、王水で洗ってから水銀を入れといて」といとも簡単かのように言われた。
 学生はただでさえ焦っているのに、先生の指示を受けてさらにイライラしていた。そして、作業中に細いガラス管部分をぶつけて割ってしまった。その後は蒸留をすることもできず、マノメータを修理に出す手筈を整えたりして、1日が終わったのであった。

時に集中力を欠いて失敗をする時があります。そのような時は、他の失敗も重ねてしてしまうことが多いです。自分自身に集中力がないなと感じた時は、さっさと切り上げて、家でゆっくり休む方が良いですね。