子育ては難しいものです。あまりに干渉し過ぎてもいけませんし、かといって放置し過ぎてもいけません。適度な見守りが必要です。
ある学生がX線結晶構造解析に用いる単結晶を得ようと、再結晶をしていた。学生は結晶が出てはいないかと気になって、毎日のようにサンプル瓶を棚から取っては眺め、時には振ってみたりもしていた。その様子を見た先生は、「すぐに出てくる結晶は粉末やったり、多結晶やったりするから、静かに置いとかなあかんで」と注意をした。なるほどと思った学生は、しばらく放置することにした。
ある日、学生は再結晶をしていたことを思い出した。「もうそろそろええかな」と思って、サンプル瓶を見ると結晶が出ていた。しかし、溶媒は蒸発して干からびており、小さな結晶が瘤のように沢山こびりついていた。「もう少し早めにチェックするんやった」と思いながら、結晶を溶媒に溶かし直し、再結晶を再開したのであった。
子育てと同じように結晶を育てる際も、適度な見守りが必要なのでしょうね。