円盤投げ


 長期間、使用していないデシケーターは、蓋がくっついてしまって、なかなか開けられないことがあります。

 ある学生が、学生実験で調製した試料をデシケ-タ-に入れて乾燥しようとしていた。しかし、前回同じ実験をしてから1年が経過していた。この期間は、蓋がしっかりとくっつくには十分な時間であった。学生がいくら力を加えても、蓋はびくともしない。数分間の努力も虚しく、開けることができなかった。
 そこで学生は先生に報告をして、助けを求めた。先生は「しゃあないな」と余裕の笑みを浮かべながら、蓋に手をかけたが、思った以上に頑固なくっつき方であった。そこで、渾身の力を込めたところ、突然蓋が開いた。しかし、かけた力は握力以上であったため、蓋は円盤投げのように飛んでいき、床に落ちて大破してしまった。普段先生から注意されている学生達は、先生の失敗を見て大はしゃぎである。それに対して先生は言い訳もできず、憮然として後片づけをしていたのであった。

たまにはそういうこともあります。先生が失敗した時は、優しく見守ってあげるようにしましょう。