ラネーニッケルとは水素を担持した活性な金属であり、乾燥しますと自然発火することがあります。
ある学生がラネーニッケルを使った実験の後処理をしていた。反応混合物を吸引ろ過して、ラネーニッケルを分離した。学生は急ぎの用事があったために、目的生成物が含まれている、ろ液の処理を優先させた。しばらくすると、背後で｢ポン！｣という音とともにブフナー漏斗（ヌッチェ）が炎上し始めた。学生は慌てて漏斗を抜き取り、水をかけて鎮火してことなきを得たが、炎が出ている漏斗を手にした姿はまるで自由の女神のようであった。
反応溶媒が水であったから良かったものの、アルコ－ルならば引火して大事故になっていたと思い、学生は改めて冷や汗をかいたのであった。
危険な試薬を扱う時は、時間の余裕のある時に行なうようにしましょう。その方が心にも余裕ができますので。