O! My God!


 学生に指示を出して、学生は機嫌良く実験をしていても、指示がちゃんと伝わっていないことが多々あります。

 ある学生が原料合成をしていた。先生に指示された量の試薬を用いて、指示された手順で行なっていた。にも拘らず、原料の収率が極めて低い。しかも、不純物も沢山含んでいる。先生も「最初は実験に慣れてへんから」と思っていたが、何回も繰り返されると、どこかがおかしいと考えざるを得なくなった。そこで、学生が実験をしている横について、どこがおかしいのかをチェックすることにした。学生の加えた溶媒量を見た先生の「溶媒の量がなんでそんなに少ないねん」との指摘に対して、学生は「いえ、先生が書いたメモの通りですけど」と答えた。
「そんな訳ないわ」
「いえ、書いてある通り、30 molで仕込んでます」
「いや、これは30 molやなくて、30 mlって書いてあるんや」
「字が汚くて分かりませんでした」
「・・・・」


どちらも間違えていないと信じ切っている時ほど、失敗の原因は見つけにくいものです。