突入


 実験をしていると、試薬をこぼして実験台を掃除するということは日常茶飯事です。しかし、場合によってはこの作業が大変なこともあります。

 ある学生が試薬を蒸留によって精製していた。しかし、装置かゴム管のどこかで詰まっていたらしく、蒸留装置の中は加圧になり、突如試薬が噴き出した。いつもなら「やってもたー」と言いながら、拭き取り掃除をするところであるが、この時は違った。
 蒸留していた試薬は非常に催涙性が強く、その部屋に居た人達はいたたまれなくなって避難しなければならなかった。しかし、そのまま放っておくわけにもいかない。 学生達はゴミ袋を頭からかぶって、息を止めて中に入っていき、耐えられる限り処理をした後、次の人に交代するという方法を採用した。大まかに処理をした後、窓とドラフトを全開にして翌日まで放置することにより、ようやく通常の処理ができるようになったのであった。

刺激性の強い試薬は事故が起こった時も刺激なものですね。