緩み


 かつては加熱実験と言えば、バーナーで行なうことが多かったのですが、引火の危険性もありますので、最近では電気器具で加熱することが多くなっています。

 ある学生が湯浴を用いて、加熱実験を行なっていた。熱いお湯で加熱していたので、緊張をしていたが、その実験もようやく終わり、ほっとした。そして後片付けをしようかと思い、体の向きを変えたその時、電源コードに引っ掛かって湯浴がひっくり返って、手にお湯がかかってしまった。
 そばにいた先生はすぐに、他の学生に「氷を持ってきて!」と命じたが、学生がビーカーに氷を入れて持ってきたのを見て、「そんな小さい容器やなくて、洗面器に入れて持って来て!」と再度命じた。そうして調達された氷で患部を十分に冷やした後、学生を病院に連れて行った。症状を見た医者からは「まあ日焼けのきつい程度ですわ。冷やし方が上手やったんやろねえ。」と言われ、胸を撫で下ろして帰って来たのであった。

「気の弛み」と「コードの弛み」、いずれにも気をつけなければいけませんね。