ローリングソバット


 ローリングソバットとは、プロレスの技でジャンプしながら後ろ回し蹴りをすることです。

 ある学生がNMRで反応追跡をしていた。以前は泊まり込んで、夜中に測定をしていたが、今はオートサンプラーという便利な代物が導入されたので、かなり楽になった。一定間隔ごとに時間設定していれば、その時間になると、自動的にサンプルをマグネットの中に入れて測定してくれるので、その合間に他の誰かが測定しても大丈夫である。追跡をしている内に夜を迎え、設定確認だけを行ない、家に帰った。
 翌朝、NMR室に入った学生はいつもと少し違う雰囲気を感じた。その時、下半分が失われた自分のサンプルが目に入った。「割れているということは、サンプルの溶液がマグネットの中に・・・」学生は慌てて先生を呼び、業者に連絡をとって、その指示に従って、プローブを外してマグネットの中の掃除をした。幸いにして、機械に不都合は生じてなく、使用ができるようになったので、ほっとしたものの、その日は何もすることができず、早々に帰ったのであった。

サンプルフォルダに挿さったまま、何回もマグネットから出したり入れたりしたために、その振動で、徐々にサンプルが下がり、はみ出した時にオートサンプラーが回転して、サンプル管をへし折ったのですね。このような物理的な力が外から加わる場合は、こまめにチェックするように致しましょう。