ばく初たいけん


 「読んでから見るか、見てから読むか」とは、昔、ある出版社が映画の宣伝文句に使っていたフレーズですが、似ているようで大きく異なります。同様に順番が異なるだけで、結果が大きく異なることは、日常生活でも多々ありますし、もちろん実験にもあります。

 ある学生が研究室に配属されて初めての実験に臨んだ。気合いが入っているものの、緊張の度合いも大きく、期待と不安が入り交じった心境であった。反応容器に反応させる試薬を入れた後、溶媒を加えようと構えた瞬間、シュポッという音とともに容器から黒い煤が立ち上った。スケールが小さかったから、その程度で済んでいるものの、爆発は爆発である。
 研究室に入って火が出たり、爆発が起こると、ガラス器具が受ける以上に学生が受ける精神的なダメージの方が大きい。しかも、初実験である。学生は、将来の不安を抱えたまま、その日1日何も手につかなかったのであった。

溶媒は反応場の提供だけでなく、反応によって発生する熱を分散させて、局所的な加熱を防ぐ役割も担っています。この学生は溶媒を加える前に試薬を混ぜたために、反応が暴走したのです。先に溶媒を加えるようにしましょうね。